読み聞かせは親子の絆を深め、子どもの成長に大きな影響を与える貴重な時間です。特に0歳から2歳という短期間においては、親子の読み聞かせに対する子どもの反応に大きな変化が見られると実感しています。
0~2歳の時期において、子どもは言葉や理解力が急速に発達し、絵本を通じて世界を学びます。最初は親が絵本を読んでも興味を示さなかった子どもも、次第に絵や音に反応し、親とのやり取りを楽しむようになります。
私自身の体験を振り返り、0~2歳の親子読み聞かせにおける心得と、その変化についてお伝えしたいと思います。
本記事の末尾におすすめ絵本(日本語10選、英語10選、中国語3選)をピックアップしており、これから読み聞かせを始める方等はぜひ参考にしてみてください。
親子で読み聞かせをする際の心得
親子で読み聞かせをする際に大切なのは、無理をせず、子どものペースに合わせることです。
0~2歳の子どもに対して親が絵本を読むとき、最初から「1冊を通して読む」ことにこだわらず、絵本を楽しいものとして紹介することが重要です。短時間でも良いので、親子の時間を大切にし、絵本が特別なものだと感じてもらうことが、今後の読み聞かせを成功させるためのコツだと思います。
それでは、読み聞かせの心得3つをご紹介します。
【親子で読み聞かせする際の心得①】最初から1冊を読み切ることは期待しない
初めて絵本を手にする0歳児にとって、絵本がどんなものかを知ること自体が大きな第一歩です。子どもは、絵本をじっと見つめたり、ページをめくったり、手で触れたりすることで、絵本に対して興味を持つことが大切です。
しかし、初めて絵本に触れる子どもに無理に最後まで読ませるのは避けましょう。まだ絵本の内容やストーリーに集中するのは早すぎるので、まずは絵本というものの存在を認識し、触れることを楽しむことが最初の目標です。
例えば、ページをめくりながら一つ一つの絵を見せ、絵本に描かれている動物や人物を指さして「これは何かな?」と問いかけて進めていきます。少しずつ絵本に慣れていく過程を楽しみましょう。
【親子で読み聞かせする際の心得②】読み聞かせは決まった時間、決まった場所で行う
絵本を読む習慣を定着させるためには、決まった時間と場所で読み聞かせを繰り返すことが重要です。
特に0~2歳の時期において、リズムが安定することで子どもは安心感を持ちやすくなります。毎日同じ時間帯に、リラックスできる場所で読み聞かせをすることで、絵本の時間が「特別な時間」として子どもに定着します。
例えば、お昼寝前や寝る前、朝起きた後の穏やかな時間に読み聞かせを行うと、子どもも楽しみにしやすくなります。また、特定の場所で絵本を読むことで、子どもは絵本への興味が高まり、自分から絵本を手に取る習慣も育てやすくなります。このように、絵本の時間を日々のルーチンに組み込むことを心掛けましょう。
【親子で読み聞かせする際の心得③】子どもが気になる絵や写真に時間をかけて話し合う

絵本の読み聞かせは、言葉の発達において非常に効果的ですが、0~2歳の子どもにとって、ストーリーに焦点を当てるのはまだ早く、難しい場合があります。そのため、絵や写真にじっくりと時間をかけて話し合うことが重要です。絵本の絵は、言葉の理解を深め、語彙力を育むための素晴らしい手がかりとなります。子どもが絵や写真に興味を示したとき、一緒に指差しながら、言葉を使って話を広げましょう。
例えば、ページに描かれた「りんご」を指差して、「これは赤いりんごだよ」「りんごは丸いね」といった具合に簡単な言葉を使いながら話しかけます。色や形について話すことで、色の名前や形容詞を学び、語彙を増やすことができます。
また、絵に描かれた動物や人物の表情を見て、「どうしてこの犬はこんなに嬉しそうな顔をしているのかな?」や「このお姉さん、どうしてこんなに驚いている顔をしているのかな?」と問いかけることで、子どもは感情を表現するための言葉や語彙を学びます。感情に関連する言葉を使って、子どもと一緒にその気持ちを考えることで、表現力が豊かになり、感情理解も深まります。
絵や写真を通じて、最初は言葉がわからなくても、物語に触れる前からでも、視覚的に楽しみながら言葉に触れることで、後々の言語の発達に大きな影響を与えることができます。
【親子で読み聞かせ】子どもの成長の軌跡と変化(0-2歳)
読み聞かせを続けていくうちに、子どもの反応や興味は徐々に変化していきます。特に0歳から2歳の期間は、短期間で大きな成長を見せる時期です。以下は、私の子どもが実際に示した変化の一例です。
【親子で読み聞かせー子どもの変化】0歳:最初は絵本に関心を示さない
下の子が生後間もない頃、絵本に関心を持つどころか、短い絵本の読み聞かせ音ですら反応が薄く、絵本を見せるとすぐに手を放したり、離れてしまったりすることがほとんどでした。
上の子とは対照的だったので、最初は戸惑っていましたが、それでも、1日短い絵本1冊だけでも読み聞かせ続けることを目標としました。
毎日のように絵本を手に取り、親が絵を指さして見せることで、だんだんと絵本に対しても少しずつ興味を持ち始めました。最初は絵に目を向けることもなかったものの、少しずつ絵本のページをめくることに楽しさを感じるようになり、目の前の絵に集中するようになりました。
【親子で読み聞かせー子どもの変化】1歳1か月頃:短い仕掛け絵本1冊を最後まで聞けるようになる

1歳を過ぎると、絵本への興味がますます深まり、『I LOVE YOU』のような赤ちゃん向けしかけ絵本の読み聞かせを最後まで聞けるようになりました。
絵本を自分で手に取って、何度もページをめくり、絵本の中の登場人物を指差しながら、楽しそうに声を出すようになりました。徐々に、1冊だけではなく、自分から2冊目を持ってくるようになり、一人で本棚の前で自分が気になる絵本を探す小さな姿がよく見られるようになりました。この頃から、同じ絵本を繰り返しリクエストすることが増え、絵本を何度も読むことが楽しみになったようです。
まだ言葉で自分の思いを示すことができない時期でしたが、エリック・カールの『From Head to Toe』のような体を動かして真似しやすい絵本を触れるたびに、ボディランゲージで絵本の中の言葉や語彙を一生懸命表現することがよくありました。身体全体で絵本に反応する姿は、絵本が楽しくて仕方がないことを物語っていました。
【親子で読み聞かせー子どもの変化】1歳4か月頃:乳児向け絵本を繰り返して読んで欲しがるようになる
1歳4か月となると、集中力がさらに長くなり、短い絵本を最後まで聞けるようになり、気になる絵本数冊を繰り返し読んで欲しがるようになりました。
この時期、特に福音館月刊絵本【こどものとも0.1.2.】シリーズの『たたんぱ』や、【こどものとも年少版】シリーズの『たいじなくつ』が気に入りの絵本でした。繰り返し読んでいると、内容を覚え、ページをめくる度に自分なりの反応を見せてくれるようになり、絵本の内容に親しんでいく様子が見られました。
この頃から、絵本に登場するキャラクターを覚えたり、特定のシーンに反応することが増えて、絵本が単なる物語の受け手から、能動的な楽しみの源へと変わっていきました。
【親子で読み聞かせー子どもの変化】1歳9ヶ月頃:長い絵本に集中できるようになる

絵本を繰り返し読むことで、言葉が増え、物語の理解度も深まっていくのを感じました。また、新しい発見をするたびに嬉しそうに反応し、特にお気に入りの場面では、親が物語を進めようとしても、何度もそのページに戻して繰り返し読んでほしがるようになりました。
1歳9ヶ月頃になると、長めの絵本を集中して聞けるようになりました。
この頃は、フレーベル館月刊絵本【キンダーメルヘン】シリーズの『なやめるライオン』や『まいごになったサイくん』など、少し長い絵本にも挑戦するようになり、物語の約三分の二まで集中して聞いていました。以前は、絵本の途中で気が散ることも多かったのですが、今では物語の流れに沿って、静かに聞いている姿が見られるようになりました。
絵本の内容に対する理解も深まり、登場人物に対して感情を持ったり、ストーリーの流れを覚えたりすることができるようになりました。例えば、悲しい顔をしているライオンを見ると、自分なりの悲しい仕草を示し、感情を理解し始めている様子が見て取れました。
【親子で読み聞かせー子どもの変化】1歳10ヶ月頃:自分で絵本を読むようになる

1歳10ヶ月を過ぎると、絵本への関心がかなり高まり、絵本が欠かせない日常の一部となりました。
朝や昼寝から目を覚ました後には、自分から絵本を持ってきて、一人で見るようになり、親が読んであげる時だけでなく、一人遊びの時間にも絵本を手に取り、ページをめくりながら自分なりに声を出して読むようになりました。
絵本を通して語彙が増え、少しずつ言葉で自分の思いを表現する力も大きく向上しました。絵本がますます楽しいものとなり、絵本が単なる読み物にとどまらず、子どもの成長に重要な役割を果たしていること、表現力や思考力の発達に繋がっていることを実感しました。
この頃からは、絵本を通じて得た言葉を日常生活にも積極的に使い始め、周囲の大人たちとのコミュニケーションがより豊かになっていきました。
【親子で読み聞かせ】0~2歳におすすめの絵本リスト
絵本読み聞かせの時間は、絵や写真、物語を楽しむだけでなく、言語発達にも良い影響を与える大切な時間です。0~2歳の子どもにおすすめの絵本を、言語別(日本語10選、英語10選、繁体字中国語3選)に紹介します。
【親子で読み聞かせ】0~2歳向け日本語絵本10選
1.『いっしょにあそぼ しましまぐるぐる』柏原晃夫
色と模様が交互に変わり、赤ちゃんの視覚を刺激する絵本。色や形が変わるたびに赤ちゃんの興味を引き、親子で楽しい時間を過ごせる一冊。
2.『いないいないばあ』松谷みよ子
「いないいないばあ」とページをめくるたびに動物たちが現れ、赤ちゃんの笑顔を引き出す絵本。楽しく繰り返し遊べるロングセラー。
3.『ぱんぱんでんしゃ』五味ヒロミ
さまざまなパンが電車の形になり、「ぱぱんぱぱーん」と楽しく音を立てて走る。リズム感ある言葉とシンプルな絵が子どもを引きつけ、食事を楽しく感じる手助けとなる絵本。
4.『おつきさまこんばんは』林明子
お月さまが登場する赤ちゃん向けの絵本。お月さまは一度黒い雲に隠されるが、雲が去ると再び笑顔で現れる。子どもたちは、お月さまの笑顔や悲しい顔に合わせて感情を動かし、心が豊かになる一冊。
5.『だるまさんが』かがくいひろし
シンプルなフレーズ「だ・る・ま・さ・ん・が」と、かわいらしいだるまさんの動きが子どもを引き込む。繰り返し読むことで成長に合わせた楽しさが広がる絵本。
6.『きんぎょが にげた』五味 太郎
逃げた金魚を探すシンプルなストーリーの絵本。ページをめくる度に金魚を探す楽しさが広がり、子どもの年齢に応じて楽しみ方が変わり、絵本を通じて成長を感じられる一冊。
7.『くつしたくん』中川 ひろたか
色鮮やかなくつした遊具で遊ぶ楽しい絵本。リズム感あふれるストーリー展開とかわいい擬人化されたくつしたが子どもの興味を惹き、子どもが自分でくつしたを履くことを促す一冊。
8.『だーれの は?』新井 洋行
「は・は・は・は・だーれの・は?」とリズム良く進むクイズ形式の絵本。動物たちの歯をクイズ形式で学んだ後、自分の歯を鏡シールで確認し、歯磨きの大切さを教えてくれる一冊。
9.『しろくまちゃんのほっとけーき』わかやまけん
しろくまちゃんがホットケーキを作り、こぐまちゃんと一緒に食べる楽しさを描いた絵本。最後には一緒に後片付けをすることで、食事作りの楽しさだけでなく、片付けや協力の大切さも学べる一冊。
10.『すっすっはっはっ こ・きゅ・う』長野 麻子
音と動きが一体となった遊び心満載の絵本。呼吸の大切さを楽しく学びながら、読み終わった後には心も体もリラックス。感情を落ち着ける方法を自然に身に付けられる素敵な一冊。
【親子で読み聞かせ】0~2歳向け英語絵本10選
1.『Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?』by Bill Martin Jr. & Eric Carle
『Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?』のリズムと繰り返しのフレーズで、英語を学び始めた子どもも楽しめる絵本。色鮮やかな動物たちと一緒に、英語を覚える喜びを感じらる。
2.『Ten Apples Up on Top』by Dr. Seuss
子どもたちが数を学ぶためにぴったりな絵本。動物たちが10個のりんごを頭に乗せて進む様子を通じて、数字の順番や数の感覚を楽しく身につけられる。
3.『Where’s Spot?』by Eric Hill
主人公の”Spot”という犬を探しながら物語が進む仕掛け絵本。仕掛けをめくるごとに動物たちが登場し、位置や場所を示す前置詞を認識しながら、動物の名前も覚えられる。
4.『Dear Zoo』by Rod Campbell
動物園から送られた動物たちをページごとにめくりながら探す仕掛け絵本。繰り返しのフレーズと簡単な形容詞で、動物の特徴を自然に覚えられる。
5.『Ten Tiny Toes』by Caroline Jayne Church
体の部位を学ぶための楽しい絵本。リズムよく繰り返しながら、足や手、顔などを紹介し、子どもたちが親しみやすく体の部位を覚えられる。
6.『Excuse Me!』by Karen Katz
日常のシーンを通して礼儀を教える仕掛け絵本。赤ちゃんが「すみません」を使うきっかけとなる内容で、楽しく学べる。
7.『My First Yoga』by DK
赤ちゃんが簡単なヨガポーズを使って感情をリラックスさせる方法を学べる絵本。0歳から始める心のケアにぴったり。
8.『When I Feel Angry』by Child’s Play
怒りを感じたときの気持ちを理解し、どう対処すればよいかを学ぶ絵本。短い構成ながら、簡潔な内容で乳児でも理解しやすく、1歳からの感情管理を学ぶのにおすすめの一冊。
9.『The Very Hungry Caterpillar』by Eric Carle
空腹なあおむしが食べ物を食べながら成長し、最終的に蝶になる物語。色鮮やかなイラストと簡単なテキストで食べ物や数字、自然のサイクルを学べるロングセラー絵本。
10.『Guess How Much I Love You』by Sam McBratney
親子の愛を表現するシンプルで温かな物語。リトル・ラビットとビッグ・ラビットが互いに「どれだけ愛してるか」を伝え合い、親子の無償の愛を感じさせる感動的な絵本
【親子で読み聞かせ】0~2歳向け中国語(台湾華語、繁体字)絵本3選
- 『早安晚安-給0-3歲的自理兒歌』李紫蓉, 朱雲嵩, 林豊洋, 張硯田, 蘇珊
0~3歳の子ども向けに、日常生活の中での基本的な生活習慣を自立を促す歌絵本。
簡単な歌とかわいらしいイラストで、どもたちが興味を持ちやすく、生活のリズムを学ぶ手助けとなる一冊。 - 『ㄅㄆㄇ唱學兒歌』林芳萍
子どもたちが楽しく台湾華語の注音(ㄅㄆㄇ)を学べる絵本。リズムよく進む歌で、言葉を覚える楽しさを実感できる一冊。 - 『幼幼小書:我的一天.我喜歡.我愛玩』(3冊)信誼編輯部,陳志賢
身近で楽しい日常をテーマにした赤ちゃん向けの絵本セット。シンプルな文とカラフルな絵が赤ちゃんの興味を惹いやすく、初めての言葉学びにぴったり。